野底山花だより

11月13日

マルバノキ 花

花よりも紅葉に酔いしれていた今日この頃ですが、

秋に咲く花だってもちろんありました。

 

小鳥の森樹木園に沢山生えているマルバノキ(別名ベニマンサク)の枝元に、線状の小さな紅紫の花が咲いています。

 

ハート形の葉の紅葉の様子も美しく、見ていると優しい気持ちになれる樹木です。

 

老人福祉センターの裏の少しわかりにくい場所にありますが、

是非足を延ばして見てみてください。

マルバノキ 紅葉

10月4日

ヤマボウシの実

秋の実が次々となって、毎日楽しい園内です。

このコーナーで6月5日に花が咲いている様子を紹介した、

ヤマボウシが実をつけていました。

 

ジャムやシロップ漬けにすると美味しいこのヤマボウシの実。

鳥もその味を知っているらしく、すでについばまれているものもたくさんありました。

ヤマボウシ

10月2日

ぬばたま

 

ぬばたまの 夜さり来れば 巻向の 川音高しも 嵐かも疾き

 

  

柿本人麻呂の歌と言われる万葉集の中の一首です。

 

夜が更けて、巻向川の川の音が高くなってきたのは、嵐がやって来たからだろうか

 

という意味のこの歌のなかで、

「ぬばたまの」は、「夜」にかかる枕詞。

 

そしてその「ぬばたま」の正体はこの真っ黒な実です。

 

まさに漆黒の夜を思わせる見事な深い黒。

こんな実をつける植物は、

以前この花だより(7月28日)で美しい花を紹介した、

ヒオウギです。 

 

この「ぬばたまの」は、「夜」のほかにも「黒」や「暗」「髪」などの言葉にかかります。

万葉集には「ぬばたまの」を枕詞に詠んだ歌が80首ほどもあるのだそうですが、 いずれの場合も、その実の深く黒いさまから導かれたものと言われています。

 

夏に咲くオレンジ色の花も目の覚めるような鮮やかさでしたが、

対照的なこの深い艶やかな黒にも驚かされます。

ぬばたまの入っている袋

「ぬばたま」は、このように袋状の果実に包まれていて、熟すとはじけ、袋は枯れて黒い実が露わになります。

 

 

 

 

季節の移ろいと共に、草花も木々もその色や形を変えていきます。

研ぎ澄まされた感性で、その様子を自らの生活や文化に取り入れていった、いにしえの人々の感性に脱帽です。

9月20日

落葉樹がどんどんと葉を落としていきます。

 

管理事務所そばのカツラの樹。

黄色く丸い葉が地面いっぱいに散らばって、そのうち茶色くなり、雨に打たれて湿り、土となじんでいきます。

 

 

カツラの葉

風に吹かれて舞い飛んで、池の中に落ちた葉は、

水草と一緒に揺られています。

 

日に日に秋が進んでいきますね。

9月6日

園内でも奥のほう、つまり山のほうの地面に今たくさん咲いている小さな赤紫の花があります。

ツリフネソウです。

下側の花弁が垂れ下がり、その姿が帆掛け船を釣り下げたような形であること、また、釣舟と呼ばれる形の花器に似ていることからこのような名前がついています。

 

 

ウバユリの実

 

 

一方こちらは何やら面白い形をした実がなっています。

やはり園の奥のほう、八王子神社の近くです。

この実の前身がこちら。8月には少しつぶれた形の大きな花を咲かせていました。

 

 

ウバユリ

開花時の全身がこの姿です。高さが1mくらいあり、太い茎に支えられてすくっと立っています。

 

その名もウバユリ(姥百合)。

この写真のものもそうですが、花が満開になるころには葉が枯れてくるため、歯(葉)がない姥にたとえ、こんな名前がついたとか。

昔の人々の花の名づけには本当に遊び心がありますね。

 

実がこの先どうなっていくのか、またレポートをお楽しみに。

9月3日

ミズヒキの花

秋を感じさせる草花がちらほらと目につくようになってきた園内です。

今朝はこのミズヒキの花が開花しているのを発見。

じっと目を凝らさなくてはわからないほど小さく華奢な花が、

ぱらぱらと咲いています。

 

ミズヒキの名は、もちろんこの紅白の縁起良い色合いから名づけられたもの。

飯田は水引の伝統工芸で全国的にも有名ですが、

一歩林の中に入ると、こんな素敵なミズヒキも咲いているんですよ。

 

8月21日

イヌエンジュ

管理事務所の脇道を歩いていると、空から小さな薄緑色のものがなにやらひらひらと舞ってきます。

地面を見れば雪が降ったかのように一面に落ちています。

 

よく見るとそれは小さな花。

 

この時季に花をつけるイヌエンジュの花です。

イヌエンジュの樹

樹高がかなり高いので、見上げても花のついている部分はよくわかりませんが、

この枝の先々に咲いた花が、こうやって地面一面に模様を描いているのでした。

8月17日

管理事務所のすぐ近くの木陰に、ギボウシの花が咲き始めています。

春先から青々とした葉を地面に茂らせていましたが、ここへきてやっと清楚な紫色の花を見せてくれました。

 

8月11日

タマアジサイ

6月のコアジサイ、7月のヤマアジサイに続き、

8月に入ると、今度はタマアジサイが花をつけ始めました。

 

八王子神社やキャンプ場周辺にたくさん生えており、

地味ながら品のある淡紫色の花が見ている者を優しい気持ちにさせてくれます。

タマアジサイの蕾

タマアジサイの蕾はこんな風に球形をしていて、

それがある日ふと見ると、たくさんの花が広がって咲いているのだから不思議です。

7月28日

ヒオウギ

管理事務所のすぐ近くの空き地に、ヒオウギの花が咲き始めました。

オレンジ色に赤い斑点の6枚の花弁が、ぱっと目を惹きます。

 

 

ヒオウギの葉

 

ヒオウギ(檜扇)の名の由来は、このとても特徴ある葉の形から。

厚みある平べったい葉が、まさに扇を開いたかのように広がっています。

 

 

京都の方はよく御存じでしょうが、ヒオウギは祇園祭のときに飾られる花として有名です。

 

古代からヒオウギは厄除けの花として悪霊退散に使われており、祇園祭ももともとは疫病を流行らせる怨霊を鎮めるために始まったところから、ヒオウギが欠かせない花として飾られるようになったのだそうです。

 

花後の果実から、秋には黒い種が出てきます。

この種にも、古くから日本人は文化的な価値を見出していたようですが、

それはまた、種の成った頃、お伝えしたいと思います。

7月20日

アジサイ

八王子神社のアジサイは、さらに色づきを深くし、品のある青や紫が池の周りを彩っています。

 

種類も豊富なので、花期の異なる種が次々と新たに咲き、まだまだしばらく鑑賞を楽しめそうです。

7月17日

キキョウ

管理事務所のすぐ上にぽっと花開いた美しい紫色。

キキョウが咲いています。

 

右上に見えるのが蕾なのですが、

まるで紙風船のような面白い形。

この形から英名は「baloon flower」なのだとか。

 

園内は木陰になる場所が多く、苔やアジサイなど、湿気を好む植物が豊富ですが、

湿気に強くないキキョウは、ちゃんと、日当たりの良い、乾燥気味の場所を選んで生えています。

植物の自らを生かす知恵には恐れ入ります。

7月4日

八王子神社 アジサイ

7月に入り、八王子神社のアジサイがずいぶんと色づきを増しています。

 

八王子神社 アジサイ

6月27日

園内各所でアジサイが花開き始めています。

特に八王子神社の池の周りや、沢筋、道路沿いには

沢山のアジサイが生えており、日々少しづつ色づいてきています。

 

アジサイは種類が大変豊富で、このように山に咲くアジサイにも変種が多いそうです。

テマリ咲きながらそれぞれの萼片が小柄なこの種、ヒメアジサイ、でしょうか。

 

街中や植物園などで見るいわゆる大きな花房の西洋アジサイと違い、少し地味で、でもだからこそ自然で優しい味わいがあります。

ガクアジサイ

 

こちらはさらに地味。ヤマアジサイの一種でしょう。

でも自生種ならではの清楚な雰囲気を漂わせています。

ヤマアジサイ

 

上の写真のアジサイのすぐそばに咲いているのに、こちらは萼片の数が違う。

 

よく見ると本当にバラエティーにあふれています。

ヤマアジサイ

6月23日

スイセンノウ

事務所前のスイセンノウ。

こんなにたくさん花をつけました。

シモツケ

事務所の裏にはシモツケの花が咲き始めています。

サンショウの実

サンショウは実をたくさん付けています。

触って実をつぶすと、独特の強い香りが手についてなかなか落ちません。

6月20日

コアジサイ

湿った林縁のあちこちに、コアジサイの花が咲き始めています。

房状に付く花は一つひとつがとても小さく、近くに寄ってみないとその形がはっきりとはわかりません。

コアジサイ

雪の結晶のように小さな花びらが集まっています。

6月18日

今日は花ではなく、実を紹介します。

キイチゴ

キイチゴ(モミジイチゴ)。

林の中をよく見ると、あちらこちらに生えています。

特に八王子神社から上のあたりによく見られます。

 

キイチゴ

食べられます。

果汁がたっぷりで、甘いような酸っぱいような、ちょっと苦いような味です。

ヘビイチゴ

こちらは、今園内いたるところでみられるヘビイチゴ。

 

ヘビイチゴ

こちらは美味しくなさそう。

食べても何の味もしないそうです。

6月15日

管理事務所近くを歩いていると、

空から、黄色い花びらが降ってきました。

 

ユリノキ

そうです。

ユリノキの花の咲く時季でした。

 

10mほども高さのある樹なので、

木の全景を見てもなかなか花には気づきません。

 

ユリノキ

でも、カメラのレンズを通してアップで見てみると・・

 

咲いています、咲いています。

直径は7~8cmほど。

淡く優しい黄色、付け根にオレンジの模様入りの

可愛いカップのような花です。

ユリノキにはいくつかの別名があります。

まずは、

チューリップツリー。

この花の形を見ればうなづけます。

ユリノキ 半纏のような葉

もう一つは

ハンテンボク(半纏木)。

この葉の形が半纏に似ていることから。

 

 

 

 

他にも、グンバイノキ(軍配の木)、ヤッコダコノキ(奴凧の木)などとも呼ばれるようです。

 

その姿かたちからつけられた様々な呼称を知るのも、花や木を見るうえでとても楽しみなことです。

まるで、人間ひとりひとりに、その個性に応じてあだ名がつくように、昔の人は花木にも個性を見出したのですね。

 

 

6月12日

ホタルブクロ

管理事務所の向かいにある芝生広場の端で、ホタルブクロが咲き始めていました。

繁殖力が強く、時に他の草花を押しのけて顔を出してくるドクダミ。

でも花はとても清楚で綺麗です。

 

スイセンノウ

事務所前のコウヤマキの根もとににょきにょきと伸びつづけていた茎の先に、とうとう花が咲きました。

スイセンノウ。

葉がほわほわした白い毛に覆われているところから、別名フランネル草と呼ばれます。

この地域も梅雨入りし、今日は昼からしとしとと雨が降り出しました。

気づけば初夏の花が次々と咲きだしているようです。

ついこの間、雪が解け、春がやってきたと思ったのに、どんどん季節は廻っていきます。

6月5日

このところ園内でよく目にするのが、このムラサキツユクサです。

蕾がたくさんついていますが、一つ一つの花は一日しか咲かないという特徴があります。

 

ヤマボウシ

ヤマボウシの花も咲き始めています。

この花、4枚の大きな花弁のように見える部分は実は花ではなく、真ん中の小さな緑色の粒のような部分が本当の花なのです。

秋になると食べられる赤い実がなります。

 

ナデシコ

老人福祉センター前の花壇のナデシコも、今とてもきれいなピンク色に咲いています。

5月31日

ウツギ

園内のあちこちで、ウツギの花が咲いています。

 

昔から、ウツギが咲くとやがて梅雨がやってくるとの言い伝えがあります。

汗ばむほどの陽気と蝉の鳴き声が初夏を思わせてくれる日も多くなりましたが、しっかりと夏を迎える前に、そういえば梅雨がやってくるのでしたね。

雨水のシャワーをたくさん浴びて、園内の木々たちがまたどのように移ろっていくのか楽しみです。

 

5月30日

サンショウバラ

管理事務所の近くに植えられている数々の樹木の中に、

今、とても柔らかなピンク色でスタッフの目を楽しませてくれている樹があります。

サンショウバラ。

自生のものは箱根や富士山周辺に生えているため、箱根バラとも呼ばれます。

バラ科の樹木ですが、その葉はサンショウにそっくり。

そこからサンショウがついてサンショウバラという名になったそうです。

 

ちょうど事務所裏手にはサンショウの樹が生えているので、葉を見比べてみました。

 

サンショウバラの葉

サンショウバラの葉。

サンショウの葉

こちらはサンショウの葉。

確かに葉の形が似ています。

サンショウバラの棘

 でも、大きな違いが・・・

サンショウバラはさすがバラです。

絶対に触りたくないなあと思わせるような鋭い棘を持っています。

5月28日

テマリカンボク

小鳥の森樹木園で、またまた満開の花を発見!

白く大きな毬のように咲き誇る花。

テマリカンボクです。

テマリカンボク

巧みにデコレーションしたかのような見事な美しさです。

シラン

 

 

芝生広場のシランも、ひときわ美しい紫色の花を咲かせています。

5月23日

小鳥の森

野底山森林公園に何度も遊びに来ていても、ここには足を運んだことのない人も多いのでは?

老人福祉センタ―の裏手、ゲートボール場との間のエリアは様々な種類の広葉樹や低木が植えられた樹木園になっており、

その木々の多くが小鳥の好む実をつけるものであることから、「小鳥の森樹木園」と名付けられています。

 

今この季節は鮮やかな緑の葉が目に眩しく、とても気持ちの良い森林浴が楽しめます。

すべてが緑色に見えるこの樹木園も、分け入ってよくよく見てみると、

花期を迎えている樹木がたくさんあることがわかります。

 

カマツカ

カマツカ。

硬い材が鎌の柄に使われたところからこの名が付いています。

マユミ

マユミ。

この樹木の名も、昔、材が弓つくりに使われたことに由来します。

ニシキギ

ニシキギ。

漢字で書くと錦木。

秋の紅葉がまるで錦のように美しいことから。

 

オトコヨウゾメ

オトコヨウゾメ。

ほんのりピンクがかった綺麗な花ですが、もう花期が終わりかけているようです。

ちなみに下の写真は同じ小鳥の森樹木園の昨秋11月の様子。

季節の移ろいってまるで魔法のようですね。

5月20日

アヤメ

管理事務所前の芝生広場の植え込みには、色鮮やかなアヤメが一つ、また一つと花を咲かせ始めています。

 

クリンソウ

クリンソウの花期は長いですね。

ぐんぐん伸びて、可愛らしい花を次々につけていきます。

水辺にすくっと立つ姿が凛としています。

 

ジュウニヒトエ

林道脇に咲くジュウニヒトエ。日本固有種です。

花が折り重なって咲く様子が、まるで十二単の着物のようであるところからこう呼ばれるのだそうです。

地味で、清楚で、何だかとても日本らしい草花です。

ベニバナトキワマンサク

ベニバナトキワマンサク。

とても素敵な色の花なのに、目立たないところにあって残念。

管理事務所の狭い裏庭に咲いています。

葉も緑のものと紫色のものがあり、木全体が赤紫に染まってとても綺麗です。

エニシダ

管理事務所脇の小さな池のほとりにエニシダの黄色く柔らかい花が、控えめに少しだけ、咲いています。

5月19日

春紅葉を知っていますか?

秋の紅葉は誰もがよく知るところ、ここ野底山森林公園でも、秋の紅葉シーズンには、多くの来園者が、園内各所で見事に色づく紅葉の美しさを楽しみに訪れます。

 

春紅葉

でも、春も盛りの今、園内のモミジはこんな色をしているんです。

 

 

そう、春紅葉のシーズンです。

葉が葉緑素をまだ十分に作れないこの時期に、本来葉自身の持っている赤や黄色の色素が見えてくる現象なのだそうです。

 

 

この春の紅葉、その後に葉が落ちてしまう秋の紅葉と違って、なんと赤から茶色へ、そして緑へと変化していくのです。

 

季節の移り変わりとともに刻々と色を変えていくその様はまるで魔法のようです。

モミジの葉の変化

5月17日

まずはツツジの様子から。

まだ見ごたえはありますが、

ツツジ 落花

中には花を落とし始めているものも・・。

一方で、

事務所前の芝生広場脇には、白アヤメが咲き始めました。

ボタンも花期を迎えています。

老人福祉センター前のハナミズキ。

5月16日

桜やツツジのような華やかさはないけれど、

岩陰で、あるいは森の中で、ひっそりと、でもしっかりと春の花を咲かせている山の野草たちを紹介します。

 

左上:テンナンショウの仲間。 園内のところどころに、ふっと咲いています。何とも言えない不思議な形です。

右上:シロバナシモツケ。濃緑の小鳥の森樹木園の中で白い花がひときわ目立ちます。

左中:オキナグサ。ほわほわの綿毛がまさに翁の雰囲気。管理事務所前の道端で日向ぼっこをしています。

右中:春一番に黄色い花が咲いたミツマタは今、すっかり姿を変えています。

左下:アマドコロ。 小さな釣鐘状の花がぶら下がっています。

 

 

5月13日

ヤマツツジ

管理事務所より上の道沿いには、オレンジ色のヤマツツジが開花しています。

柔らかな色合いが周囲の緑とマッチして目に優しい美しさです。

ツツジを見に来園したら、是非少し山の奥の方まで歩みを進めてみてください。

公園入口周辺の鮮やかな色合いとはまた違うツツジの美しさを味わえますよ。

5月11日

駐車場から

園内のあちこちでツツジが咲き始めています。

色も種類も様々ですが、中にはすっかり見頃を迎えているものも。

八重ヤマブキ

一重のヤマブキはだいぶ花を落としましたが、八重のものが満開を迎えています。

シャガ

日陰に群生するシャガ。

モミジの花

事務所裏のカエデの、柔らかな緑色の葉の裏側を見ると、小さな赤い花がたくさんついています。

クリンソウ

小川の水辺に咲くクリンソウ。

こちらは自生種。

クリンソウ

3月にスタッフが植えこんだ苗からも、小振りながら品ある色の花がたくさん咲きました。

クサソテツ

ついこのあいだ、小さな芽が美味しそうだったクサソテツ。

あっという間にこんなに大きく成長していました。