野底山とモリアオガエル
森林公園よりももっと奥、野底山池の平にある池は、モリアオガエルの生息地として県の天然記念物に指定されています。
昔の人々は、
「梅雨時にこの池に行くと、池の周りに白い短冊や提灯がいっぱいぶらさがっとる。妖怪の仕業だに。」
といって恐れていました。
実は妖怪の正体こそ、モリアオガエルの卵だったのです。
モリアオガエルは日本固有種のアオガエル科の蛙で、指先には吸盤があり、普段は山奥に住み、5~6月になると、池の水面上に張り出した木の枝に泡状の卵塊を産み付けます。
卵塊は1週間ほどでオタマジャクシになり、水の中へ落ちて泳ぎだします。9月になると子ガエルに育ち、森の奥へと巣立ちます。
この池の平の地は山奥まで林道を登った地にあり、通常立ち入ることはできませんが、
モリアオガエルはさらに里近くまで降りてきているようで、
森林公園内でも、八王子神社の脇の池には、シーズンになるとモリアオガエルの卵塊がいくつか見られることがあります。
モリアオガエルは本州と佐渡島に分布していますが、その生息数は減りつつあり、長野県では準絶滅危惧種に指定されています。
モリアオガエルの生育にはいくつかの条件が必要です。
産卵場所として、周りに草木が茂った沼や池、
カエルとなった後に暮らす豊かな森、
そして適切な気候。
ここ野底山はそれらの条件の揃った貴重な場所なのです。